すっかり5月も半ばを過ぎてしまいました。
一年で一番好きな春がもう行ってしまい暑い夏が近づいているのを感じます。
先月観た映画について簡単に感想を書きとめておきます。
「ヴァルハラ・ライジング」
公式サイトはこちら
映画「ドライヴ」(「ドライヴ」の私の感想記事はこちら)のレフン監督の作品ということで急遽上映となったマッツ・ミケルセン主演の映画です。
冒頭の一連の暴力的場面は容赦なく残酷という言葉だけでは言い表せないのですが(レイティングは付いていなかったものの、少なくともR15と思われます)
そこを我慢すれば、そこが一番残酷描写が強いところなので後は大丈夫でした(ただし個人差があると思われますのでDVDなどでご覧になる場合はご注意ください)。いえ、マッツファンでなかったら途中で出てきたかも・・・?
レフン監督の「ドライヴ」でもそうでしたが、激しい描写ながらもしつこさがなく血しぶきをあげるのが目的の映像ではないし、ホラー映画のように「わっ!!!」と驚かされるわけでもないし、そういう意味でホラーやスプラッタは苦手な自分でも何とか・・・。
いつも曇っている空の下の荒涼とした大地が広がる映像は、自然の持つパワーのようなものをかもし出す不思議な美しさがありました。
マッツ演じるワンアイは一言も台詞がありませんし隻眼なので、
演技はひたすら身体と片目の表情のみで行われることになり、
そこはマッツファンとしては見逃すわけにはいかない、そして彼の演技に改めて感心させられる作品でした。
ストーリーは単純なのにそれをどう解釈すればいいのかが難しかったです。
パンフレットがなかったのがとても残念!
「SHAME シェイム」
公式サイトはこちら
私が注目しているキャリー・マリガンが、「ドライヴ」の可憐な若いママとは全く反対の役を演じたのが気になり、性的描写はちょっといやでしたが、観てみました。
セックス依存症の主人公のブランドン(マイケル・ファスベンダー)とその妹シシー(キャリー・マリガン)の日々を、淡々としかし観ている者が二人の暮らしを覗き見しているような気にさせられる映像で描いています。
ブルーとグレーと白の色調(ブランドンの衣服の色も)で統一されていて、生々しい性的描写もひんやりとした空気感があり、それだからこそそういう場面の連続の映像を観ていられるような気がしました。
ブランドンは快楽を得るというより苦行に励む修行僧のような印象で、いつも眉間にしわを寄せて哀しく辛い表情で、救われることのない苦しみを抱えている男の人だと思いました。
シシーは何に対してもだらしない女の子でリストカット癖がある、愛されたいのに愛に飢えています。
頼れる人は兄だけなのに、兄は一人暮らしで自分の居心地のよい空間と時間を、妹が突然やってきたことによって乱されて怒っていて冷たいのです。
キャリーはとても良かったです。いいかげんな尻軽女かと思えば、見事に歌ってみせたり兄に甘えたりとくるくると変わりますが、内側はもうぼろぼろなのがよくわかる演技でした。
兄妹それぞれが追い詰められていきギリギリのところまで行ってしまうときにやっと、ブランドンは何が大切か気づいたはずだし、シシーもブランドンの気づきによって立ち直れるかもしれない、そんな感じがしていました。
しかしどうとでも観る者の解釈によって取れるような場面があって、そこを希望的に解釈するか、それとも絶望的に解釈するか。そこでこの作品の評価が分かれるかもしれません。
私はその瞬間絶望的にとらえたので後味の悪さを感じてしまい、依存症にしてもあのように真っ裸でいくつもいくつも映像を撮る必要がそこまであったのかにも疑問があり、キャリーやマイケルは素晴らしかったけど作品としてはいまいちでした。
「裏切りのサーカス」
公式サイトはこちら
"Tinker Tailor Soldier Spy"という原題の映画がおかしな邦題を付けられてしまい、残念でたまりませんが、映画そのものはとても素晴らしい作品でした。
しかし時代や社会背景知識や、登場人物の名前とコードネームや関係は把握しておいて観るほうが良いと思われます。公式サイトの人物相関図や必読コーナーなども参考になるかもしれませんが、原作を読んでおくとさらにわかりやすくなると思います。
私が読んだ原書はこちらアマゾンにリンクしています。約12万語です。
難しいのは登場人物が多く、コードネームと本名があり、覚えるのが最初は大変。
なので映画の人物相関図を参考にしたり、いつもの「正方形付箋紙に出てきた人物の名前をメモして表紙裏に貼っておく」という自分の方法を使って読みました。
でも、ストーリーは面白く読み終わった直後に「もう一度読まなくちゃ!」と思った本です(実際には再読はまだしていませんけど・・・)。
主役スマイリーを演じたゲイリー・オールドマンはさすがの演技で、老け具合も見事。
台詞が少なく黙ったままで演技する場面も数多くあるのですが、ゲイリーは黙っていてもきちんとスマイリーを演じられる方です。スマイリーがじわじわと英国情報部サーカスに入り込んでいるもぐら(ソ連の二重スパイ)を炙り出す様子は、派手なアクションもなくて地味でも背中がぞくぞくするようなスリルがあります。
スマイリーの手足となって動くギラム(発音はグィラムと聞こえます)のベネディクト・カンバーバッチも、
スマイリーの指示である書類を持ち出す場面はとても緊張感が伝わってくる演技でした。
プリドー役のマーク・ストロングは悪役のイメージを自分は持っていたのですが、今回はその悪い人オーラを消し去っていて(とはいっても本当はきわどいところを生き抜いてきた男ですよと暗示する場面はありますけど)上手いです。
私のお目当てコリン・ファースはビル・ヘイドン役。tailorがコードネームの通り、おしゃれにスーツを着こなし自信に満ちていて自分が人にどう見られているかちゃんとわかっているような男性を、コリンは楽しんで演じていたように思いました。もう少しヘイドンがみんなに影響力があるサーカスの中でもカリスマ的存在というところが出ていたらもっと良かったかしら。
誰が「もぐら」なのかを解き明かしていく作品ですが、原作を読んでいればそれが誰かはわかっているので、
そういう意味では面白さがちょっと減ってしまうかもしれません。
でも、それを上回る英国実力派オジサマ俳優達の競演と原作の世界・時代の映像化によって、本当に素晴らしい作品に仕上がっていると思います。
コリンファンとしては最初から最後までもちろんですが特にラストの方は彼から目が離せなかったし、その演技の意味するところがよくわかって、胸がぎゅっと痛くなりました。
面白いのは、原作を読んだ直後と全く同じに、映画を観終わった直後(エンドロールが流れている時)、「もう一度観なくちゃ!」と思ったことでした。
全て分かったところでもう一度最初から読んだら・観たら、見逃していたことが見えてくるはずと思わせられる作品なのです。
私が観たTOHOシネマズららぽーと横浜では、前回の「裏切りのサーカス」のチケット半券を持ってきて窓口で提示すれば次回1000円で鑑賞できる旨、告知がありました。まだ上映が続いているので半券は取ってあります。チャンスがあればぜひ、もう一度観たいものです。
一年で一番好きな春がもう行ってしまい暑い夏が近づいているのを感じます。
先月観た映画について簡単に感想を書きとめておきます。
「ヴァルハラ・ライジング」
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映画「ドライヴ」(「ドライヴ」の私の感想記事はこちら)のレフン監督の作品ということで急遽上映となったマッツ・ミケルセン主演の映画です。
冒頭の一連の暴力的場面は容赦なく残酷という言葉だけでは言い表せないのですが(レイティングは付いていなかったものの、少なくともR15と思われます)
そこを我慢すれば、そこが一番残酷描写が強いところなので後は大丈夫でした(ただし個人差があると思われますのでDVDなどでご覧になる場合はご注意ください)。いえ、マッツファンでなかったら途中で出てきたかも・・・?
レフン監督の「ドライヴ」でもそうでしたが、激しい描写ながらもしつこさがなく血しぶきをあげるのが目的の映像ではないし、ホラー映画のように「わっ!!!」と驚かされるわけでもないし、そういう意味でホラーやスプラッタは苦手な自分でも何とか・・・。
いつも曇っている空の下の荒涼とした大地が広がる映像は、自然の持つパワーのようなものをかもし出す不思議な美しさがありました。
マッツ演じるワンアイは一言も台詞がありませんし隻眼なので、
演技はひたすら身体と片目の表情のみで行われることになり、
そこはマッツファンとしては見逃すわけにはいかない、そして彼の演技に改めて感心させられる作品でした。
ストーリーは単純なのにそれをどう解釈すればいいのかが難しかったです。
パンフレットがなかったのがとても残念!
「SHAME シェイム」
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私が注目しているキャリー・マリガンが、「ドライヴ」の可憐な若いママとは全く反対の役を演じたのが気になり、性的描写はちょっといやでしたが、観てみました。
セックス依存症の主人公のブランドン(マイケル・ファスベンダー)とその妹シシー(キャリー・マリガン)の日々を、淡々としかし観ている者が二人の暮らしを覗き見しているような気にさせられる映像で描いています。
ブルーとグレーと白の色調(ブランドンの衣服の色も)で統一されていて、生々しい性的描写もひんやりとした空気感があり、それだからこそそういう場面の連続の映像を観ていられるような気がしました。
ブランドンは快楽を得るというより苦行に励む修行僧のような印象で、いつも眉間にしわを寄せて哀しく辛い表情で、救われることのない苦しみを抱えている男の人だと思いました。
シシーは何に対してもだらしない女の子でリストカット癖がある、愛されたいのに愛に飢えています。
頼れる人は兄だけなのに、兄は一人暮らしで自分の居心地のよい空間と時間を、妹が突然やってきたことによって乱されて怒っていて冷たいのです。
キャリーはとても良かったです。いいかげんな尻軽女かと思えば、見事に歌ってみせたり兄に甘えたりとくるくると変わりますが、内側はもうぼろぼろなのがよくわかる演技でした。
兄妹それぞれが追い詰められていきギリギリのところまで行ってしまうときにやっと、ブランドンは何が大切か気づいたはずだし、シシーもブランドンの気づきによって立ち直れるかもしれない、そんな感じがしていました。
しかしどうとでも観る者の解釈によって取れるような場面があって、そこを希望的に解釈するか、それとも絶望的に解釈するか。そこでこの作品の評価が分かれるかもしれません。
私はその瞬間絶望的にとらえたので後味の悪さを感じてしまい、依存症にしてもあのように真っ裸でいくつもいくつも映像を撮る必要がそこまであったのかにも疑問があり、キャリーやマイケルは素晴らしかったけど作品としてはいまいちでした。
「裏切りのサーカス」
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"Tinker Tailor Soldier Spy"という原題の映画がおかしな邦題を付けられてしまい、残念でたまりませんが、映画そのものはとても素晴らしい作品でした。
しかし時代や社会背景知識や、登場人物の名前とコードネームや関係は把握しておいて観るほうが良いと思われます。公式サイトの人物相関図や必読コーナーなども参考になるかもしれませんが、原作を読んでおくとさらにわかりやすくなると思います。
私が読んだ原書はこちらアマゾンにリンクしています。約12万語です。
難しいのは登場人物が多く、コードネームと本名があり、覚えるのが最初は大変。
なので映画の人物相関図を参考にしたり、いつもの「正方形付箋紙に出てきた人物の名前をメモして表紙裏に貼っておく」という自分の方法を使って読みました。
でも、ストーリーは面白く読み終わった直後に「もう一度読まなくちゃ!」と思った本です(実際には再読はまだしていませんけど・・・)。
主役スマイリーを演じたゲイリー・オールドマンはさすがの演技で、老け具合も見事。
台詞が少なく黙ったままで演技する場面も数多くあるのですが、ゲイリーは黙っていてもきちんとスマイリーを演じられる方です。スマイリーがじわじわと英国情報部サーカスに入り込んでいるもぐら(ソ連の二重スパイ)を炙り出す様子は、派手なアクションもなくて地味でも背中がぞくぞくするようなスリルがあります。
スマイリーの手足となって動くギラム(発音はグィラムと聞こえます)のベネディクト・カンバーバッチも、
スマイリーの指示である書類を持ち出す場面はとても緊張感が伝わってくる演技でした。
プリドー役のマーク・ストロングは悪役のイメージを自分は持っていたのですが、今回はその悪い人オーラを消し去っていて(とはいっても本当はきわどいところを生き抜いてきた男ですよと暗示する場面はありますけど)上手いです。
私のお目当てコリン・ファースはビル・ヘイドン役。tailorがコードネームの通り、おしゃれにスーツを着こなし自信に満ちていて自分が人にどう見られているかちゃんとわかっているような男性を、コリンは楽しんで演じていたように思いました。もう少しヘイドンがみんなに影響力があるサーカスの中でもカリスマ的存在というところが出ていたらもっと良かったかしら。
誰が「もぐら」なのかを解き明かしていく作品ですが、原作を読んでいればそれが誰かはわかっているので、
そういう意味では面白さがちょっと減ってしまうかもしれません。
でも、それを上回る英国実力派オジサマ俳優達の競演と原作の世界・時代の映像化によって、本当に素晴らしい作品に仕上がっていると思います。
コリンファンとしては最初から最後までもちろんですが特にラストの方は彼から目が離せなかったし、その演技の意味するところがよくわかって、胸がぎゅっと痛くなりました。
面白いのは、原作を読んだ直後と全く同じに、映画を観終わった直後(エンドロールが流れている時)、「もう一度観なくちゃ!」と思ったことでした。
全て分かったところでもう一度最初から読んだら・観たら、見逃していたことが見えてくるはずと思わせられる作品なのです。
私が観たTOHOシネマズららぽーと横浜では、前回の「裏切りのサーカス」のチケット半券を持ってきて窓口で提示すれば次回1000円で鑑賞できる旨、告知がありました。まだ上映が続いているので半券は取ってあります。チャンスがあればぜひ、もう一度観たいものです。
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた映画「灼熱の魂」(カナダ・フランス、2010年)を観ました。
公式サイトはこちら
この作品はネタバレしてしまうといけないたぐいの映画ですので、詳しくは書けないのですが、
とにかく愕然とするというか、恐ろしい真実を知ってしまって呆然とするというか、
観終わった後、さっさと美味しい物でも食べに行きましょう~という気持ちにはなれないような重い作品。
中東系カナダ人のナワル・マルワンという女性が突然プールサイドでおかしくなり死んでしまい、
遺された彼女の双子の姉弟ジャンヌとシモンに、公証人を通じて遺書と手紙が2通渡されます。
手紙は姉弟が存在を知らなかった兄と父親に宛てたもの。
ジャンヌは母親の生まれた中東の村に向かいます。
そこで次第に明らかになっていく母ナワルの過去。
その過去だけでも十分悲惨なものなのですが、さらに真実が突きつけられたとき、観客誰もが重く深い衝撃をずしんと受けると思います。
ジャンヌとシモンが辿る母親の足跡と謎解きはドキュメンタリーのようであり、
ドキドキハラハラする点ではドラマとして面白いです。
しかしナワルや子供・女性たちが強いられたことの数々は思わず目を背けたくなるようなことばかりで、
戦争(ここでは主に内戦)の悲惨さ、醜さが改めて表されます。
女であること、母親であることがこれほど辛く悲しいとは言うべき言葉もありません・・・。
しかしナワルの気高く誰にもできないような、復讐と憎しみの連鎖を断とうとするところが一番この作品の大切なところでしょう。
私はこの作品の上映の2時間10分ほどの間、完璧に映画に集中したままでした。
最初はどんなことが始まるのかよく飲み込めないままでしたが(フランス語なので余計に)
次第にだんだん飲み込めてくるのと、過去と現在が交互に出てくるところをうまく理解できれば大丈夫です。
ナワルが生んだ最初の赤ちゃんをしっかり観ていてほしいです。
公式サイトはこちら
この作品はネタバレしてしまうといけないたぐいの映画ですので、詳しくは書けないのですが、
とにかく愕然とするというか、恐ろしい真実を知ってしまって呆然とするというか、
観終わった後、さっさと美味しい物でも食べに行きましょう~という気持ちにはなれないような重い作品。
中東系カナダ人のナワル・マルワンという女性が突然プールサイドでおかしくなり死んでしまい、
遺された彼女の双子の姉弟ジャンヌとシモンに、公証人を通じて遺書と手紙が2通渡されます。
手紙は姉弟が存在を知らなかった兄と父親に宛てたもの。
ジャンヌは母親の生まれた中東の村に向かいます。
そこで次第に明らかになっていく母ナワルの過去。
その過去だけでも十分悲惨なものなのですが、さらに真実が突きつけられたとき、観客誰もが重く深い衝撃をずしんと受けると思います。
ジャンヌとシモンが辿る母親の足跡と謎解きはドキュメンタリーのようであり、
ドキドキハラハラする点ではドラマとして面白いです。
しかしナワルや子供・女性たちが強いられたことの数々は思わず目を背けたくなるようなことばかりで、
戦争(ここでは主に内戦)の悲惨さ、醜さが改めて表されます。
女であること、母親であることがこれほど辛く悲しいとは言うべき言葉もありません・・・。
しかしナワルの気高く誰にもできないような、復讐と憎しみの連鎖を断とうとするところが一番この作品の大切なところでしょう。
私はこの作品の上映の2時間10分ほどの間、完璧に映画に集中したままでした。
最初はどんなことが始まるのかよく飲み込めないままでしたが(フランス語なので余計に)
次第にだんだん飲み込めてくるのと、過去と現在が交互に出てくるところをうまく理解できれば大丈夫です。
ナワルが生んだ最初の赤ちゃんをしっかり観ていてほしいです。
今年の春公開の映画はかなり充実していて、観たい作品が目白押しでした。
それぞれ簡単に感想を。
「スーパーチューズデー 正義を売った日」
公式サイトはこちら
「ドライヴ」を観てライアン・ゴズリングの演技に感心し、ちょうど公開中の本作品も観てみることにしました。
こちらの役柄は「ドライヴ」とは全く違う、米国大統領候補の広報官。
大統領選挙の裏側とそこに渦巻く駆け引きと野心が描かれます。
ライアンは最初はモリス候補(ジョージ・クルーニー)を心から信頼し国を良くする人物として大統領にするべく、一生懸命働き上司や仲間からも信頼されていますが、
対立候補陣営の参謀から面会を求められたところから、どんどんとドラマが展開し始めます。
味方からも捨てられ、信じていたのに裏切られ、失うものは何もないところに追い詰められて、とうとう彼は自分の信条を捨てるところまで・・・。
最初の方のさわやかで生き生きとしたライアンと、ラストショットの目が死んでいるライアンと比べると、その違いに驚きます。
元が戯曲ということで、台詞・言葉の巧みさやそこから透けて見えるその人の思惑などが、とても興味深いドラマでした。
でもライアン・ゴズリングで比較すると断然「ドライヴ」の方が映像的に陰影が濃く、かっこよく撮れていました。
「マリリン7日間の恋」
公式サイトはこちら
ミシェル・ウィリアムズは「ブルーバレンタイン」でライアン・ゴズリングと共演していて
DVDで鑑賞したのですが二人とも素晴らしかったのを覚えています。
また共演にケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン(個人的にはドラマ「大聖堂」が記憶に新しい)、ジュディ・デンチがいるというので、この映画を観てみようかなという気になりました。
邦題だとマリリンが恋をしたように思えますが、実際はコリン(エディ・レッドメイン)が恋をしたというのが正解でしょうね。
作品全体としてはまあまあ、涙を流すほどの内容ではないですが、マリリン・モンローの表と裏の両方を演じることに成功したミシェルはすごいと思いました。
この映画を観る前に、予習を二つしました。
一つは、ローレンス・オリヴィエ(ケネス・ブラナー)の台詞に、シェークスピアの「テンペスト」からの台詞を言う場面があるというので、手元にあって読んでいなかった文庫本を急いで読みました。
「我々は夢と同じ糸で織り上げられている。・・・」(ちくま文庫、松岡和子訳)
前ミラノ大公プロスペローが娘ミランダとファーディナンドの婚約を祝い魔法で妖精の劇を見せた後の台詞です。
もう一つはこの作品は映画「王子と踊り子」を撮影している間の話ですので、
その「王子と踊り子」をレンタルDVDで鑑賞しました。
マリリンの作品を観たのは初めてですが、面白かったですし、
とてもマリリンが可愛らしくて、映画のなかで輝いています。
前者の予習はともかく、後者は見ておいてよかったです。
ケネス・ブラナーもミシェル・ウィリアムズも、もちろん衣装やヘアメイクはそっくりですが、
内側から滲み出すように本物に似ているのです。二人とも研究を重ねたのだろうと思います。
そしてあんな楽しくてロマンティックな映画の裏側に、こんなにマリリンが苦しみぬき、大変なことが起きていてたとは信じられないくらいでした。この映画をご覧になった方、これからご覧になる方はぜひ「王子と踊り子」を見てみてください。
エディ・レッドメインは実年齢よりかなり若い23歳の青年役ですが、初々しく純粋な感じがうまく出ていました。
「ヘルプ 心がつなぐストーリー」
公式サイトはこちら
原作The Helpを友人が勧めていたので読んでみて、小説としてはなかなか面白かったのと、
アカデミー賞の女優賞に受賞またはノミネートされていて、興味があり、映画を楽しみにしていました。
しかし、原作を読んでいてあらすじも結末も知ってしまったからなのか、
想像していたほどの作品ではありませんでした。
確かにエマ・ストーン、ヴィオラ・ディヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ジェシカ・チャスティン、ブライス・ダラス・ハワードら、たくさんの女優さんたちの共演・競演で華やかで個性豊かな演技が楽しめました。
それぞれが各自の持ち味をいかし、脇役のベテラン女優さんたちも含めてみんな本当に素晴らしかったです。
また、1960年代のアメリカ南部の人種差別の様子もわかるようになっていて、
歴史をあまり知らない人でも、自然に学べるようになっていますね。
病気がうつるから黒人と同じトイレは嫌だとか言いながら、
家事育児は全部その黒人のヘルプ(家政婦)に任せて、
皮肉にも「アフリカの子供たちに支援を!」とチャリティパーティーを開くなんて、本当に現代では考えられないことです。
でも社会的な映画ではなくて、人間として女性としてどうあるべきなのか、どう生きるのかというところがメインではないかと思います。
普遍的な内容を含んでいて、ユーモアもあり、
小さな町の家庭内の親子・夫婦間や、雇い主とヘルプ間、主婦のグループ内の問題などが軸になっているので、自分にも思い当たるところがありそうで読みやすいですから、原作がアメリカでミリオンセラーになったのかも??
原作の持っている特徴がそのまま映画にも出ていて、たくさんの女性が出てきて、主人公はスキーター(エマ・ストーン)、エイビリーン(ヴィオラ・ディヴィス)のどちらとも取れるし、ミニー(オクタヴィア・スペンサー)もシーリア(ジェシカ・チャスティン)もそれぞれかなり重要な役回りで、悪役のヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)ももちろん外せないキャラクター。
ただ映画では時間的にもう少し一人ひとりを掘り下げる時間が足りなかったように思います。
アカデミー賞という栄冠や原作を読んでの私の過剰な期待のせいでしょう、きっと。
映画賞の受賞やノミネートは俳優さんにとって本当に素敵なことですが、
それを鵜呑みにするのではなく、あくまで観る映画を選ぶ参考にするもので
アカデミー賞受賞だから絶対すごく最高な映画だというわけではないと思いました。
それぞれ簡単に感想を。
「スーパーチューズデー 正義を売った日」
公式サイトはこちら
「ドライヴ」を観てライアン・ゴズリングの演技に感心し、ちょうど公開中の本作品も観てみることにしました。
こちらの役柄は「ドライヴ」とは全く違う、米国大統領候補の広報官。
大統領選挙の裏側とそこに渦巻く駆け引きと野心が描かれます。
ライアンは最初はモリス候補(ジョージ・クルーニー)を心から信頼し国を良くする人物として大統領にするべく、一生懸命働き上司や仲間からも信頼されていますが、
対立候補陣営の参謀から面会を求められたところから、どんどんとドラマが展開し始めます。
味方からも捨てられ、信じていたのに裏切られ、失うものは何もないところに追い詰められて、とうとう彼は自分の信条を捨てるところまで・・・。
最初の方のさわやかで生き生きとしたライアンと、ラストショットの目が死んでいるライアンと比べると、その違いに驚きます。
元が戯曲ということで、台詞・言葉の巧みさやそこから透けて見えるその人の思惑などが、とても興味深いドラマでした。
でもライアン・ゴズリングで比較すると断然「ドライヴ」の方が映像的に陰影が濃く、かっこよく撮れていました。
「マリリン7日間の恋」
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ミシェル・ウィリアムズは「ブルーバレンタイン」でライアン・ゴズリングと共演していて
DVDで鑑賞したのですが二人とも素晴らしかったのを覚えています。
また共演にケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン(個人的にはドラマ「大聖堂」が記憶に新しい)、ジュディ・デンチがいるというので、この映画を観てみようかなという気になりました。
邦題だとマリリンが恋をしたように思えますが、実際はコリン(エディ・レッドメイン)が恋をしたというのが正解でしょうね。
作品全体としてはまあまあ、涙を流すほどの内容ではないですが、マリリン・モンローの表と裏の両方を演じることに成功したミシェルはすごいと思いました。
この映画を観る前に、予習を二つしました。
一つは、ローレンス・オリヴィエ(ケネス・ブラナー)の台詞に、シェークスピアの「テンペスト」からの台詞を言う場面があるというので、手元にあって読んでいなかった文庫本を急いで読みました。
「我々は夢と同じ糸で織り上げられている。・・・」(ちくま文庫、松岡和子訳)
前ミラノ大公プロスペローが娘ミランダとファーディナンドの婚約を祝い魔法で妖精の劇を見せた後の台詞です。
もう一つはこの作品は映画「王子と踊り子」を撮影している間の話ですので、
その「王子と踊り子」をレンタルDVDで鑑賞しました。
マリリンの作品を観たのは初めてですが、面白かったですし、
とてもマリリンが可愛らしくて、映画のなかで輝いています。
前者の予習はともかく、後者は見ておいてよかったです。
ケネス・ブラナーもミシェル・ウィリアムズも、もちろん衣装やヘアメイクはそっくりですが、
内側から滲み出すように本物に似ているのです。二人とも研究を重ねたのだろうと思います。
そしてあんな楽しくてロマンティックな映画の裏側に、こんなにマリリンが苦しみぬき、大変なことが起きていてたとは信じられないくらいでした。この映画をご覧になった方、これからご覧になる方はぜひ「王子と踊り子」を見てみてください。
エディ・レッドメインは実年齢よりかなり若い23歳の青年役ですが、初々しく純粋な感じがうまく出ていました。
「ヘルプ 心がつなぐストーリー」
公式サイトはこちら
原作The Helpを友人が勧めていたので読んでみて、小説としてはなかなか面白かったのと、
アカデミー賞の女優賞に受賞またはノミネートされていて、興味があり、映画を楽しみにしていました。
しかし、原作を読んでいてあらすじも結末も知ってしまったからなのか、
想像していたほどの作品ではありませんでした。
確かにエマ・ストーン、ヴィオラ・ディヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ジェシカ・チャスティン、ブライス・ダラス・ハワードら、たくさんの女優さんたちの共演・競演で華やかで個性豊かな演技が楽しめました。
それぞれが各自の持ち味をいかし、脇役のベテラン女優さんたちも含めてみんな本当に素晴らしかったです。
また、1960年代のアメリカ南部の人種差別の様子もわかるようになっていて、
歴史をあまり知らない人でも、自然に学べるようになっていますね。
病気がうつるから黒人と同じトイレは嫌だとか言いながら、
家事育児は全部その黒人のヘルプ(家政婦)に任せて、
皮肉にも「アフリカの子供たちに支援を!」とチャリティパーティーを開くなんて、本当に現代では考えられないことです。
でも社会的な映画ではなくて、人間として女性としてどうあるべきなのか、どう生きるのかというところがメインではないかと思います。
普遍的な内容を含んでいて、ユーモアもあり、
小さな町の家庭内の親子・夫婦間や、雇い主とヘルプ間、主婦のグループ内の問題などが軸になっているので、自分にも思い当たるところがありそうで読みやすいですから、原作がアメリカでミリオンセラーになったのかも??
原作の持っている特徴がそのまま映画にも出ていて、たくさんの女性が出てきて、主人公はスキーター(エマ・ストーン)、エイビリーン(ヴィオラ・ディヴィス)のどちらとも取れるし、ミニー(オクタヴィア・スペンサー)もシーリア(ジェシカ・チャスティン)もそれぞれかなり重要な役回りで、悪役のヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)ももちろん外せないキャラクター。
ただ映画では時間的にもう少し一人ひとりを掘り下げる時間が足りなかったように思います。
アカデミー賞という栄冠や原作を読んでの私の過剰な期待のせいでしょう、きっと。
映画賞の受賞やノミネートは俳優さんにとって本当に素敵なことですが、
それを鵜呑みにするのではなく、あくまで観る映画を選ぶ参考にするもので
アカデミー賞受賞だから絶対すごく最高な映画だというわけではないと思いました。
ライアン・ゴズリング主演の映画「ドライヴ」を観ました。
公式サイトはこちら
デンマーク出身のニコラス・ウィンデイング・レフン監督は、今週土曜日7日から公開のマッツ・ミケルセン主演映画「ヴァルハラ・ライジング」(公式サイトはこちら)の監督でもあるということと、
以前DVDで鑑賞した「ブルー・バレンタイン」という作品で観たゴズリングにも興味があり、
激しい暴力描写があるとわかっていましたが、あえて挑戦しました。
これは映画館で観てよかったと思う作品です。
最初のドライバー(ゴズリング)が強盗を車に乗せて警察の追跡から逃げるシーンから、
すっかり作品の中に入り込んでみることができ、そのまま最後までつまらない場面など一つもなく、
常に緊張でドキドキ、そうでない時は純愛の二人にニコニコしていました。
レフン監督の運転する車に乗せられて緩急をつけた走りに降りることができない感じです。
物語の筋はそんなに複雑ではなく、ドライバーが、キャリー・マリガン演じるアイリーン(人妻で夫は刑務所で服役中、とても可愛いベニシオ君という幼い息子が一人います)のために、命をかけてマフィアと対決。
西部劇を彷彿とさせるような設定で、ドライバーは寡黙でほとんどしゃべらないのですが運転の腕前は一流。
アイリーンへの愛も純愛そのもので、本当に切ないキスがたった一つだけ(だから見逃さないでね!)なのです。
だから、突然爆発する残虐なシーンがあっても、それがメインではないのです。
また、血みどろや身体の一部がグシャっとか、思わずギョッとするようなところは一瞬で
いつまでもそれを引きずらない、しつこくないので、スプラッタは苦手な私でも大丈夫でした。
(でも血を見るのは苦手な方はやめたほうがいいと思います)
ドライバーとアイリーンが交わす瞳と瞳、かすかな微笑み。
台詞が少ない分、二人の気持ちは全てそんな演技で表されていて、そこがライアン・ゴズリングもキャリー・マリガンもとても良かったです。
脇を固める俳優陣も演技派でかつ個性的でした。
美しいロスの夜景の情景が映りますが、その下ではこんなに汚く恐ろしいことが行われているなんて・・・。
また穏やかで優しいドライバーがいきなり鬼に豹変しどんどん闇に堕ちて孤独になっていく・・・様々な面を持つ人間の業。
音楽も邪魔にならず映像を盛り上げていて、音響効果はとても良かったです。
劇場によるのかもしれないですが、車のエンジン音や時計の秒針が動く音などとてもはっきりと聞こえました。
ドライバーが着ているサソリの刺繍が背中に入った白いジャンバーが、最初は綺麗だったのが
どんどん血で汚れていくのや、ドライバーが銜えている楊枝、運転の時にはめる手袋など、
細かいところも結構観ていると気になるというか、そうなるように計算しているのだろうなと思いました。
計算といえば、最初にドライバーがホテルの部屋でバスケの試合の放送を見ていて、
逃走中もカーラジオでその試合の中継を聞いているのは、
意味があってのことだったんですよね。
また、ドライバーの戦い方が基本的に銃ではなくて素手やハンマーや刃物であるところも何か監督の意図があるのでしょうか。そこも気になりました(原作を読んでいないので・・・)。
キャリー・マリガンは「17歳の肖像」「わたしを離さないで」でとても気に入った女優さんで、
「ドライヴ」も彼女が出演しているので最初興味を持ったくらいですが、
ライアン・ゴズリングも、目や背中で演技ができる俳優さんとしてこれから注目していきたいです。
公式サイトはこちら
デンマーク出身のニコラス・ウィンデイング・レフン監督は、今週土曜日7日から公開のマッツ・ミケルセン主演映画「ヴァルハラ・ライジング」(公式サイトはこちら)の監督でもあるということと、
以前DVDで鑑賞した「ブルー・バレンタイン」という作品で観たゴズリングにも興味があり、
激しい暴力描写があるとわかっていましたが、あえて挑戦しました。
これは映画館で観てよかったと思う作品です。
最初のドライバー(ゴズリング)が強盗を車に乗せて警察の追跡から逃げるシーンから、
すっかり作品の中に入り込んでみることができ、そのまま最後までつまらない場面など一つもなく、
常に緊張でドキドキ、そうでない時は純愛の二人にニコニコしていました。
レフン監督の運転する車に乗せられて緩急をつけた走りに降りることができない感じです。
物語の筋はそんなに複雑ではなく、ドライバーが、キャリー・マリガン演じるアイリーン(人妻で夫は刑務所で服役中、とても可愛いベニシオ君という幼い息子が一人います)のために、命をかけてマフィアと対決。
西部劇を彷彿とさせるような設定で、ドライバーは寡黙でほとんどしゃべらないのですが運転の腕前は一流。
アイリーンへの愛も純愛そのもので、本当に切ないキスがたった一つだけ(だから見逃さないでね!)なのです。
だから、突然爆発する残虐なシーンがあっても、それがメインではないのです。
また、血みどろや身体の一部がグシャっとか、思わずギョッとするようなところは一瞬で
いつまでもそれを引きずらない、しつこくないので、スプラッタは苦手な私でも大丈夫でした。
(でも血を見るのは苦手な方はやめたほうがいいと思います)
ドライバーとアイリーンが交わす瞳と瞳、かすかな微笑み。
台詞が少ない分、二人の気持ちは全てそんな演技で表されていて、そこがライアン・ゴズリングもキャリー・マリガンもとても良かったです。
脇を固める俳優陣も演技派でかつ個性的でした。
美しいロスの夜景の情景が映りますが、その下ではこんなに汚く恐ろしいことが行われているなんて・・・。
また穏やかで優しいドライバーがいきなり鬼に豹変しどんどん闇に堕ちて孤独になっていく・・・様々な面を持つ人間の業。
音楽も邪魔にならず映像を盛り上げていて、音響効果はとても良かったです。
劇場によるのかもしれないですが、車のエンジン音や時計の秒針が動く音などとてもはっきりと聞こえました。
ドライバーが着ているサソリの刺繍が背中に入った白いジャンバーが、最初は綺麗だったのが
どんどん血で汚れていくのや、ドライバーが銜えている楊枝、運転の時にはめる手袋など、
細かいところも結構観ていると気になるというか、そうなるように計算しているのだろうなと思いました。
計算といえば、最初にドライバーがホテルの部屋でバスケの試合の放送を見ていて、
逃走中もカーラジオでその試合の中継を聞いているのは、
意味があってのことだったんですよね。
また、ドライバーの戦い方が基本的に銃ではなくて素手やハンマーや刃物であるところも何か監督の意図があるのでしょうか。そこも気になりました(原作を読んでいないので・・・)。
キャリー・マリガンは「17歳の肖像」「わたしを離さないで」でとても気に入った女優さんで、
「ドライヴ」も彼女が出演しているので最初興味を持ったくらいですが、
ライアン・ゴズリングも、目や背中で演技ができる俳優さんとしてこれから注目していきたいです。
気がつけば4月、新年度が始まっていますが、
先月後半に観た作品の簡単な感想をまとめて。
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」
公式サイトはこちら
メリル・ストリープの来日時のインタビューをテレビで放送しているのを見て、彼女はやはり素晴らしい人間だと改めて感じ、
最初は観るつもりがなかったのですが、観に行ってきました。
メリルの演技は本当にサッチャーさんになりきっていて、首相時代も現在の年老いた彼女にも、驚くばかりでした。
アカデミー賞初め各映画賞主演女優賞受賞は納得です。
でも、作品全体としては深い感動を得ることができなくて、どこか言わんとしていることがしっかり理解できなかった消化不良の状態でした。
ですので以下の感想は辛口です。
年を取って認知症になったサッチャーさんが、亡くなった夫がそこにいるかのような幻覚を見つつ、過去を思いだすという形で、サッチャーさんの若いときから首相として国を支えていくところまでを描いていきます。
どんなに批判されても強い意志と信念で英国の危機を乗り越えて戦い続けた英国初の女性首相。
当時の英国がどんな状況だったのか、女性が政治家になることの難しさなど、
わかりやすく見せてくれて、当時の映像も挿まれているので、勉強になります。
しかし、そんな素晴らしい人でも、年を取るし、ぼけると言いたいのだろうか・・・?と思いながら観ていました。
女は家庭の主婦が当たり前の時代で政治家を目指すマーガレットはお皿を洗うだけの人生は嫌だと夫となる人に言いますが、エンディング近くでお茶のカップを洗う場面があり、それは何が言いたいのでしょうか?
女はやっぱり結局はカップを洗う役割があると言いたいのか、それとも偉大な政治家でもお皿は洗うのだと言いたいのでしょうか?
幻覚の夫にあなたは幸せだった?と尋ねるのも、それはどこかに夫(や子供たち)をないがしろにしてしまったのではないかという思いがあるからなのでしょうか。
愉快なジム・ブロードベントの夫デニスとのそういったやり取りは夫の亡くなる前などに持ってきて、
僕はしあわせだったよと言わせて欲しかったなあと思います。
人は誰でも老いて死ぬのは確かですが、それを強調するよりもサッチャーさんの強いリーダーシップと栄光、そして首相を辞めざるを得ないところまでを描くので十分映画になるように感じました。
首相官邸を去るサッチャーさんがとても美しく撮れていて感動的な場面でしたから、余計にそう思うのかも。
METライブビューイング ヴェルディ「エルナーニ」
公式サイトはこちら
ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の公演のライブ録画映像を映画館で楽しめる、METライブビューイングの第9作。
このオペラは私は初めてで、一応パンフレットのあらすじを読んでみたものの、「復讐と愛と名誉」?
それによくわからない展開で・・・。その他特に予備知識もないままに観てしまいました。
でも実際は、筋はあらら??と思うようなところがありますが、音楽の素晴らしさと歌手の力量で楽しむことができました。
アリアもいいですし、二重唱や三重唱もとても素敵だったと思います。
アンジェラ・ミードは今注目の新星ソプラノで、声量豊かな歌声が迫力あり、すごかったです。
彼女のドキュメンタリー映像が特典映像として幕間に流されました。今後が楽しみです。
今作品はテノールのジョルダーニ、バリトンのホロストフスキー、バスのフルラネットと3人のそれぞれ違う音域の男性歌手の歌声を楽しめるのも良かったです。特にフルラネットはぬきんでた存在感と演技力で、この作品の隠れた主人公ではないかと思うほどでした。
国王ドン・カルロ(ホロストフスキー)の行動が一番よくわからないもので、説得力がないですが、
シルヴァ(フルラネット)はエルヴィーラ(ミード)を愛しぬいていて、でもエルヴィーラには冷たくされるし彼女の愛はエルナーニ(ジョルダーニ)のもの。愛している人に愛されない悲しさが切なく、復讐の鬼となるのも理解できます。
エルナーニがエルヴィーラを愛していていよいよ結婚して幸せになろうというのに、
シルヴァとの約束を守るために死を選ぶというところは現代では理解しがたいところですが、
それは時代劇ということで、そういうものだと思って素直に悲劇に涙するのがいいのでしょうね。
先月後半に観た作品の簡単な感想をまとめて。
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」
公式サイトはこちら
メリル・ストリープの来日時のインタビューをテレビで放送しているのを見て、彼女はやはり素晴らしい人間だと改めて感じ、
最初は観るつもりがなかったのですが、観に行ってきました。
メリルの演技は本当にサッチャーさんになりきっていて、首相時代も現在の年老いた彼女にも、驚くばかりでした。
アカデミー賞初め各映画賞主演女優賞受賞は納得です。
でも、作品全体としては深い感動を得ることができなくて、どこか言わんとしていることがしっかり理解できなかった消化不良の状態でした。
ですので以下の感想は辛口です。
年を取って認知症になったサッチャーさんが、亡くなった夫がそこにいるかのような幻覚を見つつ、過去を思いだすという形で、サッチャーさんの若いときから首相として国を支えていくところまでを描いていきます。
どんなに批判されても強い意志と信念で英国の危機を乗り越えて戦い続けた英国初の女性首相。
当時の英国がどんな状況だったのか、女性が政治家になることの難しさなど、
わかりやすく見せてくれて、当時の映像も挿まれているので、勉強になります。
しかし、そんな素晴らしい人でも、年を取るし、ぼけると言いたいのだろうか・・・?と思いながら観ていました。
女は家庭の主婦が当たり前の時代で政治家を目指すマーガレットはお皿を洗うだけの人生は嫌だと夫となる人に言いますが、エンディング近くでお茶のカップを洗う場面があり、それは何が言いたいのでしょうか?
女はやっぱり結局はカップを洗う役割があると言いたいのか、それとも偉大な政治家でもお皿は洗うのだと言いたいのでしょうか?
幻覚の夫にあなたは幸せだった?と尋ねるのも、それはどこかに夫(や子供たち)をないがしろにしてしまったのではないかという思いがあるからなのでしょうか。
愉快なジム・ブロードベントの夫デニスとのそういったやり取りは夫の亡くなる前などに持ってきて、
僕はしあわせだったよと言わせて欲しかったなあと思います。
人は誰でも老いて死ぬのは確かですが、それを強調するよりもサッチャーさんの強いリーダーシップと栄光、そして首相を辞めざるを得ないところまでを描くので十分映画になるように感じました。
首相官邸を去るサッチャーさんがとても美しく撮れていて感動的な場面でしたから、余計にそう思うのかも。
METライブビューイング ヴェルディ「エルナーニ」
公式サイトはこちら
ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の公演のライブ録画映像を映画館で楽しめる、METライブビューイングの第9作。
このオペラは私は初めてで、一応パンフレットのあらすじを読んでみたものの、「復讐と愛と名誉」?
それによくわからない展開で・・・。その他特に予備知識もないままに観てしまいました。
でも実際は、筋はあらら??と思うようなところがありますが、音楽の素晴らしさと歌手の力量で楽しむことができました。
アリアもいいですし、二重唱や三重唱もとても素敵だったと思います。
アンジェラ・ミードは今注目の新星ソプラノで、声量豊かな歌声が迫力あり、すごかったです。
彼女のドキュメンタリー映像が特典映像として幕間に流されました。今後が楽しみです。
今作品はテノールのジョルダーニ、バリトンのホロストフスキー、バスのフルラネットと3人のそれぞれ違う音域の男性歌手の歌声を楽しめるのも良かったです。特にフルラネットはぬきんでた存在感と演技力で、この作品の隠れた主人公ではないかと思うほどでした。
国王ドン・カルロ(ホロストフスキー)の行動が一番よくわからないもので、説得力がないですが、
シルヴァ(フルラネット)はエルヴィーラ(ミード)を愛しぬいていて、でもエルヴィーラには冷たくされるし彼女の愛はエルナーニ(ジョルダーニ)のもの。愛している人に愛されない悲しさが切なく、復讐の鬼となるのも理解できます。
エルナーニがエルヴィーラを愛していていよいよ結婚して幸せになろうというのに、
シルヴァとの約束を守るために死を選ぶというところは現代では理解しがたいところですが、
それは時代劇ということで、そういうものだと思って素直に悲劇に涙するのがいいのでしょうね。





